甲子(キノエネ)から癸亥(ミズノトイ)まで六十種の干支の刺繍
当ショップの命名旗には年号生年月日の上に六十干支がふりがなと共に刺繍してあります。小さい「ふりがな」は大変ですが、読み方の習慣が薄れているので敢えて頑張って刺繍していますよ。
司馬遼太郎著作の「菜の花の沖」に、主人公の干支から生まれ年を計算して安永○○年生まれかと言い当てる一説が出てきますが、昔の人は相当暗算に強かった印象があります。 今は自分の干支を言ってもなかなか他の人には、生まれは元号○○年だね と推し量られることはないように思われます。あまり興味がない事柄の部類に入るのでしょうが、 これが親戚となるとちょっと変わります。連帯感というのでしょうか仲間意識というのでしょうか、この子と自分との年齢関係が妙に気になりだします。 温故知新といいますかこういった昔の習慣が現代に復活してくれれば面白いと思っています。
六十干支は十干十二支と同義
万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなり、其々が互いに影響を与え合い、盛衰を繰返し循環するという中国の古代思想を陰陽五行説といいます。
それぞれの元素には陽と陰があり、木は甲(こう)、乙(おつ)、火は丙(へい)、丁(てい)、土は戊(ぼ)、己(き)、金は庚(こう)、辛(しん)、水は壬(じん)、癸(き)と分けられています。
陽と陰は、「兄(え)」と「弟(と)」の字を充て、木の兄(きのえ)甲、木の弟(きのと)乙、火の兄(ひのえ)丙、火の弟(ひのと)丁、土の兄(つちのえ)戊、土の弟(つちのと)己、金の兄(かのえ)庚、金の弟(かのと)辛、水の兄(みずのえ)壬、水の弟(みずのと)癸 として「十干」(じゅっかん)といいます。 この十種類と子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の十二支を組合せたものが六十干支で別名十干十二支といいます。
十干は甲(きのえ)から始まり5元素とそれぞれの陰陽の10単位を経て1周します。十二支は12単位を経て1周しますので、十干十二支は10と12の最小公倍数60で一周します。還暦祝いが60歳なのはこのためです.
干支の「兄」「弟」の陰陽は不変
ところで、下の図をよく見ていただきたいのですが、例えば子年生まれの「乙(きのと)」は存在しません。 子年生まれの方は必ず 木の兄、火の兄、土の兄、金の兄、水の兄に何れかの「兄」となり「弟」にはなりえません。反対に丑年生まれの方は必ず「弟」で、「兄」にはなりえません。どの十二支でも木火土金水の元素がありますが、陽である「兄」、陰である「弟」の巡り合わせは一定で変わりません。下図では兄(陽)の干支グループとして子寅辰午申戌。弟(陰)の干支グループとして丑卯巳未酉亥に分けてあります。 十干十二支にはこんな規則性があります。
五行の移ろい
十二支それぞれの五行の巡り合わせは、常に木→火→土→金→水と12年周期に移ろいます。
例えば、
辰年の場合 12年おきに 甲(木の兄) 辰→丙(火の兄) 辰→戊(土の兄) 辰→庚(金の兄) 辰→壬(水の兄) 辰
巳年の場合 12年おきに 巳(木の弟) 巳→丁(火の弟) 巳→己戊(土の弟) 巳→辛庚(金の弟) 巳→癸(水の弟) 巳
と言う具合になります。仮に、父親が丙辰(火の兄の辰)年生まれで、父が24歳のときの子供ならば、その子は庚辰になり。金の兄の辰になるわけです。 親戚を見渡すといろいろな年代の人たちがいますが、祖父や孫の干支が同じ辰でも、「母方の祖父は甲(きのえ)辰だなあ」とか簡単に判るようになるのです。
このように親子で同じ干支でも、60歳の時に生まれるお子様以外は皆、異なる十干になります。当店の全ての命名旗には明確に六十干支を記して、その違いを尊重しています。読み慣れない六十干支ですので「ふりがな」もふって皆様の記憶に刻んで頂けるように工夫しています。
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