冬至のゆず湯と南瓜

冬至

年で一番夜明けが遅く、日没が一番早い日で、日照時間が年で一番短い日です。

この冬至を境に太陽の出ている時間が延びていくことから、底を打ってこれから上昇していく意味合いから古来より重要視された日でもあります。

 

陰陽五行説において冬至は陰の気から陽の気に変わる節目になります。「太陽が復活する日」として農業における再生を祝う大事な節気です。古今東西でも同じような意味合いがあり、キリスト教におけるイエスの生誕を祝うクリスマスの祭りはこの古代の冬至の日に敢えて設定したという説があります。

大師講と南瓜、小豆

冬至には「大師講」の行事を行います。「大師」とは弘法大師のような高僧のことで、各地の弘法大師信仰の広まりと共におまつりするようになったものです。小豆粥、南瓜料理をお供えしていただく他、「ん」のつく みかん、れんこん をいただく地方もあります。貧しい家に旅の僧(弘法大師)が宿をとる逸話では、貧しさのあまり塩も入っていないあり合わせの小豆粥でもてなしてご利益を授かったことから、この粥は特に「霜月粥」「大師粥」と呼び小豆、団子を入れていただきます。南瓜は「冬至唐茄子」「冬至南瓜」といわれ、昔から冬季のビタミン不足を補う効果が知られていたものとという説もあります。

でも、「ビタミン」という栄養素は明治45年(1912年)のエルマー・ヴァーナー・マッカラムの発表まで認識されていませんでした。日本の鈴木梅太郎による「脚気」治療のためのビタミン発見の方が早いのですが、それでも明治のお話でとても中世日本で栄養補給のため南瓜を食すと良いと認識されていたとは思えません。

冬至は冬の節気のちょうど中間にあたり「子」にあたり「新しい生命が種子の内部から萌し始める状態」で「水」の配当になります。南瓜、小豆の色が橙色赤色で、陰陽五行説においては「火」に配当され、冬至の正反対の位置関係で陰に極まった状態である冬至の気を「火」の気で緩和しようとする意図があるように感じられます。

 

ゆず湯

冬至の日の入浴時にはゆずの実を湯に浮かべた「ゆず湯」に入ると風邪を予防するといわれます。香りの強いゆずで「邪気」を祓う意味があると思われます。