菱餅 ひなあられ

菱餅

ひなまつりの際に飾る「菱餅」は菱形の特殊な形をしています。

巷にお菓子は数多かれど、菱形のお菓子はあまりありません。

菱形の意味

菱餅のこの菱型の形状には「魔除け」「邪気払い」の意味合いがあります。

なぜ菱形が魔除けなのか調べてみるとどうも「菱の実」の形が由来のようです。菱の実が硬くて尖っていることから意味合いが転じたのだと思います。節分の際に飾る柊(ひいらぎ)の棘が鬼を遠ざけるのに似た発想です。

実際に菱餅には粉にした菱の実が混ぜられていて効能として制ガン効果があるといわれています。(※すべてのお店の菱餅に菱の実が入っているか判りません、形だけ菱型のものが多いと思われます)

菱の実
菱の実

菱形は衣装の文様にも取り入れられていて平安貴族たちが普段から魔除けを意識していたのかもしれませんね。

菱形文様の意匠
菱形文様の意匠 源氏物語 六条院の生活 光琳社出版 より

 

菱餅の色

菱餅は上から桃色・白・蓬緑になっています。一説には桃色は梅桃桜の花、白は雪、緑は雪の下の草を意味していると云われますね。

菱餅 ひなあられ
菱餅 ひなあられ

その意味合いを持ちつつ、やはり魔除けの意味合いを併せ持っています。

  • 桃色:桃色の「赤」は魔除けそのものの意味合いがあります。染料のくちなしの実にも解毒作用があるといわれています。
  • 白色:清浄・純潔を意味するとともに、菱の実に血圧を下げる効果と制ガン作用があります。
  • 蓬色:強い香りが邪気を払うものです。

「ひなあられ」も同じ配色ですね。

神饌としての菱餅

神饌とは感謝を伝えることを目的に神様に対してお供えする食物のことです。

お節供の行事の際には神饌を用意します。神様をお招きして節会を催し神様と一緒に食事をして穢れを持ち帰っていただく。これがお節供の原型です。お供えした料理のお下がりを皆で頂戴して神様の御力を頂きます、これを「直会(なおらい)」といいます。

お正月は鏡餅を三方に載せてお供えしますが、神様にお供えする神饌はいつでも三方に載せてお供えするものです。

 

ここで雛人形の雛道具を思い浮かべていただきたいのですが、菱餅は菱台という盛器に載せられていて中央の三方には載せられておりません。三方は神様に食物やお酒を献上するための専用の盛器ですが、瓶子というお酒をいれる神具(雛道具にはなぜか花が挿してあります)が載せられていています。

実は、菱台とは「菱餅専用の三方」なのです。四角い三方の折敷に、菱形の菱餅を載せるには大きさが合わないためだと思われます。菱餅とはそれ専用の盛り器が用意されるほどの神饌なのです。

ひな人形には「直会」の姿が残っています。ひなまつりは「上巳の節供」といいますが、「ひなまつり」限定の神饌である菱餅をご家族皆さんで分け合って召し上がっていただきたいと思います。

 

 

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